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その時、誰かが背後から息せき切って駆けてくる音が聞こえた。
「―間に合ったか」
「先輩!どこに行ってたんですか!」
「野暮用だって言ったろ。それより、例の3人の事情聴取今からなんだろ。始めるぞ」
呆気にとられている私とCHIKAさんをよそに、先輩はバウアーさんに早口の英語で指示をだしていた。
「一体どうなってるの?」
CHIKAさんが困惑した様子で呟いたのが聞こえた。
イギリスは人種の90%が白人だと言われているけれど、イギリスのいくつかある大都市では、世界中から様々な人が集まって暮らしている。ロンドンはそのうちのひとつ。
事務所とは別室のガラス張りの部屋で、一人一人、事情を聞かれることになった。
事情聴取用にあてがわれたのは、空調付きの小部屋だった。
私とCHIKAさんは部屋の隅にあるパイプ椅子に腰掛けてバウアーさんと智樹先輩が警察用の椅子に座るのを見ていた。
「ねえ、バウアーさんはわかるとしてどうして上条さんが座ってるの?あの人ただの大学教授よね?」
「は、はい。そのはずです…」
バウアーさんは部外者であるはずの先輩を追い出すどころか、仲良く談笑まではじめてしまっていた。
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