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最後の一人は、くせ毛気味の黒髪を後ろでまとめた人の良さそうなインド系の初老の男性。
ロンドンでインド料理店を経営しているらしい。
「My name is Ibrahim Patel.」
(イブラヒム・パテールです)
バウアーさんに名前を聞かれ、男性は答えた。そばには茶色い紙袋がたくさん置いてある。
「I’m out of station for my hotel.」
パテールさんの言葉に、私は一瞬「?」となった。
「え?あの人今ホテルって言わなかった?確かレストランをやってたわよね?」
「ですよね…」
バウアーさんも先輩も特に気にした様子もなく、質問を続けていた。
「Excuse me, Where are you from?」
(失礼ですが、ご出身は?)
バウアーさんが尋ねた。
「My birthplace is Chingford, but my parents come from India.」
(生まれたのはチンフォードという町ですが、両親はインドの出身です)
「Thank you very much, sir.」
(どうも)
パテールさんは礼を言って退室していった。
これで3人全員の事情聴取が終わった。
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