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須藤彩、都内の外語大で言語学を専攻する大学の3期生。
英語教諭の資格を取るために、また前からの夢だったイギリスへの留学がやっと叶って晴れてこの春、ロンドンの土を踏むことができたのだ。
さっき私に声をかけて来たのは、上条智樹。
オックスフォード大学で教鞭を取るこれでも大学教授だ。
私より7つ上の28歳で、大学の教授たち曰く、史上最年少で大学教授まで上り詰めた“天才”。
だけど私に言わせればただの言語オタクの変人。
言葉の持つ神秘さに惹かれたとかなんとかで単身渡英し、以来ラテン語やらサンスクリット語やらやたら難しい本に囲まれてはあれやこれや講釈をたれている。
さっきのは序の口だ。
学生の頃は剣道をやってたとかで、そこで鍛えた筋肉は今も健在で黙っていればそこそこイケメンなんだけどいかんせん口を開けばあのざまだからモテたためしがない。
会計を済ませて店を出たあと、二手に別れることになった。
先輩は警官に聞き込みに、私とCHIKAさんは総合受付へ。
私が警官へ説明に行くと粘ったけど、「日本からきたばかりのお前の英語力じゃかえって向こうが混乱する」と言われたので、渋々引き下がった。
(まさか、こんな事になるなんてなあ…)
歴史ある建物の石畳を一歩一歩踏みしめながら、エレベータで受付のある階を目指した。
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