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タクシーは桜が咲き乱れる公園の傍を通り、ボドリアン図書室を素通りした。
智樹を乗せたタクシーはそのまま裏道を通っていく。
“先輩、ロンドンでまたお世話になります!”
くしゃくしゃの笑顔が浮かぶ。
『Sir, Sir!』
(お客さん、お客さんてば!)
運転手の声が聞こえる。
『Your Phone!』
(携帯!鳴ってるよ!)
はっとして智樹は我に返ると、慌ててスラックスのポケットをまさぐった。
液晶画面には『須藤』とある。
「ああ、俺だ」
「着信あったからかけ直したんですけど、交通警察署で何か聞けました?」
「色々面白いことがな。受付の防犯カメラには何か映ってたか?」
智樹が日本語で話すのを、運転手はミラー越しに珍しそうに見ていた。
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