恋×花+?=花姫

1/1
28人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ

恋×花+?=花姫

 小さい頃、お母さんが寝る前に読んでくれる絵本が好きだった。  『花姫(ハナヒメ)』という花から生まれたお姫さまの物語。  (みにく)いヒキガエルやコガネムシに(さら)われて、花姫はお金持ちのモグラと結婚させられることになりました。  でも、モグラはきれいな花とおひさまが大嫌い。  ずっと暗闇で暮らさなくてはならないと知った花姫は、毎晩泣きました。  そんなとき、冬に助けたツバメに花の国へ連れられて、花の妖精である王子さまと出会うのです。  どこへでも飛んでいける羽根をプレゼントされた花姫は、王子さまと結婚して幸せにくらしました。  可愛らしくて、誰からも愛されている花姫は憧れだった。  花姫みたいに素敵な人と出会って、誰かを好きになって。中学生になったら、花が咲く日が当たり前に来ると思っていたの。  でも、現実は理想からほど遠くて。思い描いていた十三歳より、ずっとずっと子どものまま。  恋を知らない私は人と違うと笑われて、みんなから置いてけぼり。  ねえ、花姫。いつか出会えるかな?  王子さまみたいな人と。  こんな私でも、なれるかな?  ーー誰かの特別な存在に。
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!