ようこそ探究部へ!

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ようこそ探究部へ!

 あと3⋯⋯2⋯⋯1! ⋯⋯よし!  キーンコーンカーンコーン! 「お? もうおしまいか。 よし、今日の授業はこれまで。 ホームルーム始めるぞー!」  その音を聞いて瞬春さんがパタリと閉じて大きな声で宣言した。 明日の授業内容や、必要物等についての説明が始まる。 「あら? もうお終いなのね。」  瞬春さんの話を適当に聞き流していたところ、隣のアリスが残念そうに呟いているのが聞こえた。 見ると彼女は、開いたノートに何かを一心不乱に書き込んでいる。 そんなにキリの悪いところで終わったのだろうか? 少し気になって彼女のノートをグッと覗き込む。 「⋯⋯おい。」 「何かしら?」 「んだよ⋯⋯それ?」  彼女のノートに書かれていたものは、先程の魔法陣を召喚する杖のような物を持った男の姿であった。  アリスは誇らしげに胸を張って⋯⋯ 「貴方の姿絵よ。 と言っても、神話の時代のものだけどね。」  言われてみるとどことなく俺に似ているような気がしないでもない。 そういえば、授業中にチラチラとアリスの視線を感じたな。 何かと思っていたが、そういうことだったんだな。 「そうかよ。」 「フッフッフッ⋯⋯どうかしら? 昔の貴方の特徴をよく表していると思うのだけど。」  アリスは少し顔を赤らめてモジモジしながら俺を見つめる。 ⋯⋯おい、やめてくれよ。 そんな目で見られたら否定できないじゃないか。 そもそも、この絵の人物は実在しないアリスの中の妄想だから⋯⋯なんと言えばいいのだろうか。 「あぁ。 ⋯⋯まぁいいんじゃねぇのか?」  とりあえず当たり障りのないように答えておく。  アリスは満足気に頷いていたし、それで正解なのだろう。 そんなことを考えているうちに、ホームルームが終了して待望の下校の時間となった。 「あら? 何をしているのかしら、琴雪?」 「何って⋯⋯帰るんだよ。」  今日は確か仕事があったはずだ。 そこまで苦戦する内容ではないだろうが、早く帰って準備しておきたいからな。 「何を言っているの?」 「あ? まだなんかやらねぇといけねぇことがあんのか?」  先程、掃除は終わらせたが⋯⋯これ以上一体、何をしろというのか。  アリスはニヤリと笑って右手を右目に合わせた。  (あっ⋯⋯これ面倒臭いやつだ。) 「これからが、私たちの時間よ! さぁ、着いてきなさい!」 「お⋯⋯おーい! ちょっと⋯⋯」  無理矢理連れていかれているにも関わらず、手を握られてドキッとしてしまうのは、アリスが超絶美少女だからだろう。 なんか情けなくなってくるな⋯⋯ 「ここよ!」 「あ? なんだよ⋯⋯ここ?」  俺が連れていかれたのは二階にある一室、他の部屋に比べて明らかに使い古されたと分かるボロボロのドアを持つものであった。 「私たちの修行場とでも言っておきましょうか。 とりあえず入りなさい。 それで全てが分かるわ。」 「お⋯⋯おう?」  やはりアリスの言っていることはよく分からないが、とりあえず中に入らないことには話が進まなさそうなので、大人しく従ってドアノブを押した。 ―――パンパン! 「「「ようこそ! あやかし高校探究部に!」」」  クラッカーの破裂音が盛大に響いて思わず身構えたが、よく見ると昼に見た成哉たちがパチパチと拍手をしていた。 ―――探究部、だと? 「おいアリス。 どういうことだ?」  俺は後ろで腕を組み、満更でもなさそうな顔をしている美少女に問いかける。 「ふっ⋯⋯言ったでしよ? ここが私たちの修行場。 あやかし高校探究部なのよ!」  俺が聞きたいこととは全く見当違いな答えが帰ってきて、こいつはダメだと呆れてしまうのであった。 
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