さよならの日
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男が居た場所まで戻る。 そこには小肥りで涙をドバドバと流し、鼻水でぐちゃぐちゃな男が、私の出現に驚いた顔をして立っていた。 「コレあげる」 私はカバンから小さなリボンを取り出して、男に差し出した。 唯一コレだけはと持ってきたのだが、もう惜しくない。 「私もありがとう。さよなら」 惚けたような男の手にリボンをねじ込み、また歩き出す。 今度こそ私の歩みは止まることは無かった。
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