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もしそうなれば、どれだけの人が路頭に迷い不幸になるか、それならば帝都の住民十数万人を犠牲にした方が傷が浅い。そんな打算があり口にしている。どちらを選んでも失われる、それも莫大な数が。ならば少しでも可能性がある、魔法陣の無効化に賭けた方が分があるとふんだ。
大司教は神妙な顔になるが何も言わなかった。彼は皆の無事を祈るしかない、その為にここに居ると割り切ってしまう。大事件の前に、正体不明の女性がいることなどは後回しいされてしまう。ドロシアは口を出さずに正解へたどり着くようにとじっと見守る。
「これだけの巨大な魔法陣だ、通常のものではあるまい。図書館にある魔導書に、禁呪の類が記録されているはずだ。これを確認してみる必要がある。手分けして記述を探すぞ」
迷いながらでも真っすぐに歩んでいる、ドロシアは嬉しそうに魔導師たちの言葉を漏らさずに聞いていた。
サルディニア帝国・帝都サルディア-4
◇
禁呪に関する書物を全て医務室の隣に集めて検索を始める。手作業ではあるものの魔導師らが検知の魔法強化を行いながらのことなので、程なくしてそれらしい一文が発見される。
「【ズィーゲルズサークル】対象を封印する極めて危険な魔法、禁呪指定を受けているこれでは?」
団長が魔導書を受け取り前後の分を余すことなく読み込む。そして何を目的としているかも朧げに知った。
「対象の魔力を流出させ封印する。その際に流れ出た魔力量に応じた魔物を現世に出現させる召喚魔法の一つでもある」
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