最愛の人を失ってから十年経って気づく真実

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 そう説明を声に出して読むと魔導師らがざわつく。何故ならば今まで流出した魔力はこの場の魔導師らの大半と、皇帝のものでかなりの値になるから。このまま延命措置のつもりで魔力を注ぎ込んでいれば、手の施しようがない大変なことになるところだった。 「魔法陣を破壊すると今までの魔力が対象に逆流する。器を壊した上で魔物を召喚することになる――」  維持するのも壊すのも最悪を選択するだけの事、どう解決すべきかまでは書かれていない。魔導書はその仕組みを解説するものであって、教科書や参考書のように答えまでは無い。万策尽きた、そんな雰囲気が漂う。 「その封印の種類を確認はしましたか?」 「ドロシア嬢、それはどういう意味かな」  今まで黙って座っているだけだった彼女が発言する。どうしてここに居続けているのか、存在を許されてはいないが追い出されもしていない。 「魔法陣を破壊することが出来ないならば、封印を促進させて【ズィーゲルズサークル】を解決させる必要がありますから。その後、召喚された魔物を排除し、封印を解く。速やかにこれらを決断し、実行すべきではないでしょうか」  禁呪を取り除く方法がわからない、それならば成立させてしまう。一つの答えだと納得できた。問題はそれで対象者がどうなるのか。封印されてしまいそれが解けないならば皇帝は死んでしまうかどうか、それは封印と呼ばれるのかどうか、確かに種別を知るべきだと頷く。  魔導師らが今度は封印について検索を始めた。団長はドロシアを正面にして立ち上がる。
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