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一国の皇帝を相手にお前と呼ぶ。そんなことがあれば激怒して即座に相手を消し炭にしていたアドラーが全く激昂することがない。
「私はすがりたかった、それが未練だとしても。あなたが傍に居て欲しかった、この世が終わるまでずっと」
「お前は皇帝なのでしょう。ならば見合った者を探しなさい」
少女が大の大人である皇帝をあやしている、彼等にはそう見えた。事実その通りではあるのだが、大司教があることに気が付いて膝を折った。
「生きていたならどうして名乗り出てくれなかったんですか、カタリナ師匠。姿かたちが違おうと、あなたは私の師です」
「今の身体はドロシアというのよ。まったく、感情位コントロール出来るようになれとあれほど教えたのに、どうしようもない生徒ね」
筆頭侍医も、魔導師らも膝をついて頭を下げた。全ての辻褄があった瞬間、どれだけ不可解であっても現実を優先する。
「私はあなたさえ居てくれればそれで良い。どうか私と結婚してください!」
「はぁ、何を言っているのよ。師と弟子なだけでなく、あたしの見た目はこれでも、中身は百歳を超えているのよ。冗談も休み休みいうものよ」
かつてサルディニアに存在してた大魔導師カタリナ。極めて強力な魔導師でありながら、神の奇跡を司る神職でもあった。その為に敬称は聖下、国を越えて崇められる程の超越者。十年前に逝去した際には国葬どころか、各国から弔問者が多数訪れる程だった。
「今のあなたは僅かな魔力しか持てていない。だからそれを私が補います。あらゆる敵から必ず守ると誓います。ですからどうか、どうか願いを聞き届けて下さい!」
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