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カレールーを溶き入れた鍋からは良い香りが立ち上っている。
予定とは少し変わってしまったけれど、まあまあいい出来のカレーになったと思う。
私はコンロの火を止めた。
悠君ももうすぐ帰ってくるだろうし、冷蔵庫に入れなくっても良いだろう。
ちょっとしたトラブルはあったけれど、万事片付いたと思う。
あの女が二度と悠君の前に現れる事も無いだろう。
「悠君へ。いつもたくさんの愛情をありがとう。私からほんのお返しです。食べてね。ユカリ」
鍋にメモを張り付けておけば、謎のカレー扱いされる心配も無いだろう。
私は、使わなかった鶏肉のヨーグルト漬けを鞄に入れた。
それにしても、片付けをするつもりだったんだけど……。
ごめんね、悠君。
ちょっと散らかってしまった部屋に心苦しさを覚えながら、私はアパートの部屋を出た。
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