正直者が見るもの

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正直者が見るもの

 どうして、こうも人というのは素直になれないのでしょうか?優しさで解決できないことがあるのと同じように、憎しみで解決できないこともあるというのに。  彼への憎しみで、地位を得ようとする者のなんと多いことか。私の名を勝手に使って、力を振るうことの何が楽しいのか。  私の努力の甲斐もあってのことでしょうか、彼は無事に、少年から大人になることができました。そして、私は彼に、実に久しぶりに、それこそ初めて従者を従えた時以来初めて、自分の意志で従者としての地位を与えました。ようやく、与えられるようになりました。  しかし与えたはいいものの、結局まだ彼は周囲から距離を置かれていました。当然です。  従者は皆等しく、私のためだけでなく、皆のために生きる。そうするよう私は命じました。しかし、私の言うことに心から従う人物は、彼だけ。  そして、皮肉なことに、彼は心から従うからこそ、その疎外感に苦しんでいました。自分は皆のために頑張っているのに、なぜ魔女様しか認めないのだろう。彼がこのように思っていたのは、誰から見ても明白でした。  日に日に追い詰められ、明らかにやつれていく彼のことが、ついに見ていられなくなりました。だから、彼を呼んで、ちゃんと話し合いをすることにしました。  大丈夫。私達なら、きっと話し合いで全て解決させることができる。きっと私なら、彼を救える。信頼しているからこそ、こう信じていました。
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