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運命の出会い
彼女と出会ったのは、8歳の頃。誰も私の歳など数えていなかったので、自分で数えていました。それに意味があるような気がして、自分が生きた証と自己愛と、そして自分は他人を愛せるというその事実を支えに生きていました。
その愛に、誰も応えることなく祖地の人達は私を追放しました。誰からも恐れられる、化け物として。
あてもなく彷徨っていると、同じように彷徨っている人影が見えたのです。なぜだか、自分と同じものを感じました。知らない人ではないような気がしていました。同じ運命を持っているような気がしていました。
けれど、彼女は私と決定的に違いました。その違いは、彼女の背負うもの。喪失、孤独、過ち、悲嘆。底なしの、絶望。
彼女に、施さなければ。何を?
救い、光命、啓示。無償の、無限の、愛。
いきなり与えられる物ではありませんから、まずは彼女の心を解いてあげないといけません。そのために、私は問いかけました。
「あなたは、どんな人なんですか?」
答えは、返ってきませんでした。けれど、何かを訴えるようにこちらを見ていました。だから、分かってくれるのだろうと思い、更に続けました。
「私とあなたは同じ。不思議な、普通の人から見たら不気味な力を持っている。だから避けられる。同じだって、なぜか分かるんです。それであなたは絶望した。けれど私は、自分自身の愛で乗り越えた。それを、分け与えたいんです」
彼女は、少しそれを拒否しているようにも見えました。しかし、しばらくもがいてから、強く求めてきたのです。
「アイ ガ タ リ ナイ ──」
久しぶりに喉を使ったのか、その声は不自然な響きでしたが、確かにそう聞こえました。
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