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今日も花言葉の国はにぎわっている。異国からの旅人や商人などが立ち寄り、珍しいものを路上で売ることもある。その他にも様々な露店が開かれ人も多い。人の波を掻き分けながら進んでいくと――ようやく片隅にある小さな本屋へとたどり着く。
だいたいの花人たちは大通りにある図書館で事足りるため、ここに来る物好きは自分くらいなものだろう。
花言葉の国では珍しい、異国の旅人が開く店だ。花人以外で、はじめて話せるようになった人。扉を開けた先、窓際の小椅子に腰掛け本を読んでいた青年が顔をあげた。
「ルーカスじゃないか。といっても、ここにはお前くらいしか来ないけど」
「オリトさん……」
いつも思うことなのだが、それでよく商売が成り立っているなと半ば感心する。
そんなに広くない店内は少し埃っぽく本が山積みされていたりする。趣味なのか、色褪せた古い地図が壁一面に貼ってある。地球儀、望遠鏡、星屑のランタン――挙げるとキリがないが、そういったものが飾られていた。
オリトさんいわく――異国を旅する度増えていったとのこと。
いつもクラシカルな服に身を包み、窓際で本を読んでいる。その隣で、おすすめしてくれた本の感想や今度読んでみたい物語のことなどをひたすら話す。面倒くさがらずに話を聞いてくれるだけでもありがたいのに、相槌もしてくれる優しい人だ。
前から気になっていることをさりげなく聞いてみることにした。
「どうしてここで本屋なんて開いてるんですか、客足も僕以外ないのに」
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