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* 当たりが砂糖 *
***
ある朝。
学校の下駄箱を覗くと、1枚のカードが入っていた。
「(ラブレターかしら……!)」
な〜んて。
甘い夢を抱くほど、私も愚かではない。
かと言って、果たし状や不幸の手紙が入るとも考えづらい。
解せぬ気持ちを抱きつつ、おもむろにカードに目を通す。
【当たりが砂糖】
……え、と。
当たりが砂糖と言われても……。
意味が分からず、困惑ばかりしてしまう。
下駄箱前で呆然としていると馴染みのある声が聞こえてくる。
「当たりが砂糖? 何これ、ユイ?」
「え? 咲???」
朝の挨拶より早く、咲はカードのメッセージを音読する。咲はクラスメイトであり、親友でもある。好奇心旺盛で正義感も強い咲らしく、グイグイと攻めてくる。
「……いや、私にもよく分からなくて」
「え、何それ? 差出人は書いてないの?」
意味不明な中身ばかり注目して、差出人を見るという初歩的なことすら行っていなかった。とは言え……。
「……律儀に書いているかなあ?」
意味不明な文面を寄越す人物がまともに名前を書くとは思えない。
そんなことを思いつつ、カードをひっくり返して確認をすると右下に小さく文字が書かれている。その文字を覗き込む咲とほぼ同時に口にする。
「えっ……「「讃岐 たぬき」」?」
差出人と思わしき【讃岐 たぬき】など記憶にない。
そもそもここは四国ですらない。
ついでにいうと四国とのコネクションもない。
「うー……ん、やっぱり悪戯だったのかなあ」
悪戯というフレーズを自分で口にしながら、何となく腑に落ちない。
それは【当たりが砂糖】というフレーズも【讃岐 たぬき】というフレーズも、どちらも攻撃性を感じないフレーズだからに他ならないだろう。
とは言え、意味不明なことに変わりはないわけで……。そんなことを思っていると不意に咲が笑顔になる。
「待って、ユイ! これは感謝状だよ!!」
「えええ? 感謝状?」
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