好きだった女子の家に泊まった話

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「江藤さんの通ってる大学、この辺だった気がする」  正直気が引けました。緊急事態とは言え、真夜中に女子に対して家に寄せてほしいと求めるのはいかがなものかというのは誰が考えても非常識です。とはいえ、命にかかわりそうだったので、ぼくは覚悟を決めてメールを送信しました。 「お久しぶりです。もしも今起きていたらすぐに連絡ほしいです」 予想外にも10分くらいで返事がきました。 「起きてるよ~。どうしたの?」  ぼくはすぐさま電話を掛けました。 「急にごめん。お願いがあるんだけど」 「どうしたの?」 「実は……」  事情を話したぼくに対して、江藤さんは予想よりはるかにあっさりした声で 「いいよ。ちょっと待っててね」  20分ほどしたら江藤さんは軽自動車に乗って颯爽と現れた。 「おっす~。久しぶり! 元気してた?」 「おう、久しぶり」  話を聞くと、江藤さんは亡くなった祖母の家を借りる形で住んでいるのだそうです。それなら確かに他人の男を泊めても大丈夫そうだと、ぼくは心底ほっとしました。  江藤さんの住んでいる家につきました。いかにも昭和の日本家屋といった趣で、結構大きな家でした。 「私、今まで二階でレポート書いてて、だから真夜中でも起きてたんだよね。こっちに布団布いてあげるから寝ていいよ」  こっちとは仏間のことです。ぼくは江藤さんのおじいさんやおばあさんの遺影の下で、仏壇の前で寝ることになりました。すごく気まずかったです。  
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