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「クール!クールっ!!」 「しっかりしろ、救急車呼んだから、がんばれ!」 ぼーっとする頭に声が響く。この街に来てからの俺の呼び名"クール"を、繰り返すのは誰だろう。 重い瞼を開け、俺を呼ぶ人物を見たら、笑みが浮かんだ。 (リーダーと、サブ) 一番気が合った二人。 撃たれて朦朧としながらもこの大木まで来たのは、ここが二人と出会った場所だったから。最期に会えるとは思っていなかったけれど、会えればいいのに、と願っていた。 「なに笑ってんだよ、お前そんな状態じゃないだろ」 サブが泣きそうな顔で太ももの傷に止血をほどこしながら言ってくる。 「お前の家が燃えてる。お前はいないし、おじさんとおばさんにも連絡つかない。探したぞ」 リーダーはさすがに冷静さが残ってる。でも、目はサブより不安そうだ。 「この傷、銃か?いったい誰にやられた?」 「・・・」 口を開いたが、空気が抜けていく音しか出なかった。 サブが気づいて耳を寄せてくる。 「なに、もう一回」 「・・・と・・・」 「と?」 俺はサブのあまりの真剣さに、おかしくなった。 「だからお前、笑ってる場合じゃないんだって、わかってんのか」 本気で焦って怒ってくる。 俺はリーダーに目だけ向けた。顔を上げるのももうしんどい。 「・・・ダー、ご、めん・・・」 「クール」 リーダーが俺の手を握り返した。 (一緒にを出るって約束、守れない) 家に居場所のないリーダーは、両親から離れたがっていた。 俺は、こんな生き方から離れたかった。 俺たちは似ていた。底の部分が同じ。だから、気が合ったんだ。 次に、サブを見た。 「サ・・・、たの・・・だ」 「クールっ」 サブの手が俺の額の汗を拭う。 (リーダーのこと、頼む。俺がいなくなった後を、支えてやって) サブには、ダメ親父とか生活費とか、今でも背負ってるものがあるのに、リーダーのことまで背負わせてしまう。 だけど、俺もリーダーも、お前の地に足がついた生き様が羨ましくて、まぶしくて、憧れなんだ。 俺はここで降りる。 リーダーだけは守ってやって。
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