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俺は最期の力を振り絞るつもりで、大きく息を吸った。 太ももや腹の傷は痛まない。もう頭が痛みを拒否したようだ。 俺の大きな動きに、リーダーとサブがはっとして顔を強張らせた。 俺は目を開け、二人の顔をしっかりと見た。刻み込むように、見た。 ああ、俺、言えるらしい。 そう思ったら、また笑みが浮かんだ。 二人が泣きそうにしている。 俺の目の端に涙が溜まっていく。 俺は笑っていた。 「ありがとう」 初めて、純粋に、感謝だけで言えた。 もう二度と言えない。 けど、構わない。十分だ。 俺を見つけてくれて、ありがとう―。
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