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桜並木の川沿いを
馴染みの顔が朝をゆく
無言の瞳で皆が追う
いつもの親子は向こう岸
少年の足取りはリズム踏む
足音すれども声はなし
微笑み合えど声はなし
母子が話すは互いの手と手
溢れる笑顔のお裾分け
少年がヨチヨチの頃から
見守った見知らぬ者が皆
いつしか覚えた
“おはよう”の手
蝶が舞うように
岸から岸へ
“おはよう”の手
少年の八度めの春
花ひらけ 花ひらけ
その掌の如く花ひらけ
無音の冬を吹き飛ばす
桜吹雪のその笑顔
照る日曇る日来ようとも
その微笑みの手が
花ひらく
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