思考回路の途中で佇む君に

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数学の授業中、ガラスの割れる音がしたから最初は上の教室でトラブルかなと思ったが、僕の後ろの席の子が割れてる音だとは思いもよらなかった。 先生を含め皆が一斉に僕の方を向いたので僕は驚いたのだが、その視線の対象は僕ではないと気づき、おそるおそる後ろを振り替えると、 そこには誰もいなかった。四ツ井くんがいるはずなのに。 キャーと女子の甲高い悲鳴が上がる。 ふと僕は何か上履きに固いものが当たったのを感じ、それを拾う。 石…いや……宝石。 宝石症候群……。 先生が寄ってきて、服や宝石の欠片を拾う間、皆はずっとざわざわしていた。 僕は何事もなかったかのように、問題のプリントを進める…ふりをした。授業に着いていけてないくらいちんぷんかんぷんなのに、どうせ問題を見ても全然分からないのに、解くふりを続けた。 先天性は急に割れたりはしない。 四ツ井くんは、もしかしたら後天性の宝石症候群かもしれない。 後天性宝石症候群は、一つでも組み立て方を間違えると、最悪の場合死ぬ。
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