07 今日の部活、外ランでさ

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07 今日の部活、外ランでさ

 美術館か。  放課後、校舎の階段を降りながら、水島くんと交わした約束について考える。  そもそも、友達と休日に出かけるという機会が普段ほとんどなくて、ちょっと不安。  怖がることではないとわかっているのに、頭の中がそわそわする。  水島くんの勢いに押される形で簡単に頷いてしまったけど、料金どれくらいなんだろう。僕のお小遣いで払えるくらいの金額なんだろうか。  まあでも、美術館って印象良い場所だし、足りなかったら母さんに話せばもらえるはず。  水島くんは、転校してすぐに入部したテニス部の練習に加え、いくつか習い事もしているとのこと。土日もスケジュールが詰まっているらしくて、美術館に行くのは少し先になった。 「すみません、今日は塾の見学に行くので」  いつも通り職員室に向かい、片桐先生に欠席を告げた。  部活を初めてサボった日は、底知れぬ後ろめたさを感じたことを覚えている。  だけど、二日、三日と続けて休むに連れて、その後ろめたさは二分の一、三分の一、とどんどんしぼんでいった。最近学校で習ったんだけど、ふたつの数のこういう関係性を「反比例」というらしい。  昇降口を出て、玄関前の階段を降りようと足を踏み出した時だった。 「今日の部活、外ランでさ。だるいわー」  聞き覚えのある声がして身が固まる。  卓球部の先輩だ。  ゴミ袋を持って、同級生らしき男子生徒と歩いている。そして、落ち葉やゴミを見つけてはトングでつまんで拾っていた。  美化委員会か何かの活動だろうか。  普段正門前で卓球部の人と鉢合わせすることはなかったから、油断していた。  僕は校舎の玄関の柱に隠れてやり過ごしてから、正門へ向かう。  追い風に煽られて、少しばかり早足で河川敷へ向かった。
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