11 ちょっとわがまますぎるよ!

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11 ちょっとわがまますぎるよ!

 年が明けた。  初めて遥奏にスケッチを邪魔された日から、一ヶ月半ほどが経つ。  僕は相変わらず、毎日部活をサボり続けていた。  言い訳が尽きたのと、そろそろ片桐先生も諦めてくれないだろうかと期待したのとで、僕は冬休み前から無断で部活を休むようになった。  期待通り、先生は何も言わなくなった。こうして僕は、正式に幽霊部員デビュー。  もちろん、家では、休まず練習に参加している設定のまま。  そうして僕は平日、雨が降らない限りはいつも、学校が終わってから河川敷に向かい、十八時頃までそこで絵を描く。  隣で、遥奏が歌う。  最近は、マイブームなのか、二曲ほどの同じ歌を繰り返し歌っているようだ。一曲は、歌詞のない、「あー」だけで音程を変えて歌う曲。それから、合唱コンクールで使われてそうな、優しい雰囲気の日本語詞の曲。  僕は歌声を聞き流しながら(ときに聴き入りながら)、ひたすら鉛筆をスケッチブックの上で走らせる。  そんな、不思議な日々が続いた。
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