ゾンビの日常

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ゾンビの日常

 次の日、平と祐介ははバーの隣にある食堂に行った。 ゾンビ達が普通にご飯を食べていた。 「ゾンビって何食べるの?」 「いや、普通に人間と変わらないよ」 「へー…朝定食あるんだ。じゃあ納豆定食で」 平は納豆定食、祐介は鮭定食を頼んだ。 「なんかゾンビが納豆食べるってグロくない?」 「だいぶね」 平はゾンビになって初めてご飯を食べた。 平が箸で納豆ごはんをおそるおそる口に入れる。 「おっ、いつもと同じじゃん」 「でしょ!でもたしかにグロいね。ゾンビと納豆」 二人は朝ご飯を食べ終えた。 「これからどうする?」 「試合に出てもいいし基本はこのビルで過ごすことになるけど」 「そうか。祐介はどうするの?」 「じゃあ、風呂でも入る?」 「いいじゃん」 平と祐介はお風呂場に向かった。中は普通の銭湯みたいで広かった。 「ゾンビが風呂ってもうこれ何の画だよ」 「最初はもういろいろ突っ込むところがいっぱいあるけど、もう3ヵ月経ったから大分慣れた」 「ゾンビになってここで3ヵ月か。慣れって怖いな」 平はシャワーを出してゆっくり体を濡らした。 「おー気持ちいい。普通に気持ちいい」 体も洗った。 「自分の体が汚れているのかわかんないけど」 「ゾンビも清潔にしないといけないってことだよ」 続いて湯船に入った。 「気持ちいい。最高じゃん。こんな生活も悪くない」 「でも闘いに勝ってからじゃないとこの生活はできないけどね」 「あーそうだった。」 「もう少しこの生活が慣れてから考えればいいよ。今は俺がいるし」 「助かるよ」 お風呂を出て祐介が怪しい顔をした。 「お風呂の後はやっぱりアレでしょ」 「そのフリはまさかあるの?」 祐介の後を付いていくと、そこには卓球場があった。 「マジかよ。旅館かよ」 ゾンビの平と祐介は普通に卓球を楽しんだ。 「いやーいつも一人だから実は卓球やったの初めて」 「あっ、そうなんだ」 「こういうところだから友達もできないし。友達になって殴り合うっていうのもなんかね」 「なるほどね。いろいろあるんだな」 「でも卓球ずっとやりたかったんだよね」 「これからは時々やろうぜ」 二人はその後、闘いを見に行った。 「あれ、ゾンビと人間じゃん。あの人間強いの?」 「ここ1カ月位前に出て来た。身長もあるし強いのかな…強いというよりゾンビを痛めつけている感じ。」 「祐介とはやったことないの?」 「まだない。でもいつかやるかもね」 「いつかか」 ゴングがなり試合が始まった。 人間はゾンビを右パンチでダウンさせた。だがダウンしてもお構いなしに殴り続けた。 ゴングがなったが、それでも止まらない。パンチを浴びせ続けた。 周りにいるゾンビ達が乱入して人間を止めた。倒れたゾンビは意識を失っていた。 「なんだよアイツ」 「あいつは今度俺が倒す。なんかゾンビになってから人間にゾンビがやられると無償に腹が立つ」 「あいつ強そうだけど」 「俺は10連勝中だよ」 「あんまり無理すんなよ」 今日の試合は終わり、夕ご飯を食べ平と祐介はバーに向かった。 祐介はビールを頼んだ。 「俺はビールは止めとく。なんかコーヒーがいいな」 祐介はタバコに火を点けた。 「それにしてもビールにタバコってもう不良じゃん」 「不良か…俺が不良ね」 祐介はビールをゴクゴクと飲んだ。 「はーうめえ。健康な体ってこんなに幸せなんだ」 「たしかにそれは言えてる」 「今日はどうするの?走るの?」 「ああ。もう半年も走ってなかったら体がなまっちゃって昨日なんて脇腹痛かったもん」 「ゾンビが脇腹痛いってウケる」 平はコーヒーを飲んだ。 「コーヒーうめえ。やっぱり俺はアルコールじゃなくてこっちだわ」 「真面目だな」 バーを後にして平は夜中になって走った。 そんな生活を1カ月ほど続けた。 「祐介、俺そろそろ試合に出てみるよ」 「どうした急に?」 「いや、さすがにもうこれ以上お金を稼がないのはマズいかなって」 「お金ならあるから。無理に出なくてもいいよ」 「それじゃ、俺の気持ちが収まらない。一カ月走ってきたし体は段々調子良くなってきた」 「そうか。なら試合にエントリーしてみる?」 「おう。デビューするわ」 受付を済ませ試合日程が決まった。平は明日試合することになった。 「早速明日か。緊張するな」 「俺もそうだったからわかる」 「どうやって攻めればいい?」 「正直こればっかりはアドバイスはないかな」 「ないのアドバイス?」 「ない。これはセンスだからな」 「センスって。俺センスなかったらどうするの?」 「それはもうどうしよう」 「なにそれ。めちゃめちゃ不安になるじゃん」
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