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祐介の実力
そして次の日、試合当日を迎えた。
観客はもうすごい盛り上がりだった。祐介に賭けている者ももちろんいるが、相手の体格と身長を見て、そっちに賭ける者もいて、半分半分の割合だった。
最初に新人のゾンビがリングに立った。
「新人いけーお前に賭けたぞ」
そして祐介もリングに立った。
「祐介―祐介―!」
「無敗記録を更新しろー」
「早速始まるな。今までで一番盛り上がるだろう」
ボスも興奮状態だった。
ゴングがなり始まった。
祐介は突っ込みジャンプをして右パンチを顔面に浴びせようとしたが、フェイントをかけ腹にパンチを繰り出した。何発も繰り出した。
だが、相手はひるまずパンチを返してきた。
祐介はそれをかわし、距離を少しとった。
だが、相手は踏み込んできて、右パンチを祐介の顔面にヒットさせた。
祐介はダウンしてしまった。
「祐介ダウンしちゃったよ。やっぱあいつ強いよ」
祐介はすぐ起きあがった。
また突っ込んでいって勢いよくジャンプして今度は右パンチを相手の顔面にヒットさせた。
だが、効いていない様子だった。すぐまたパンチを返してきた。
祐介も反応して避けた。
「危ないって祐介。大丈夫ですかね三宅さん?」
「大丈夫だってここからだよ祐介は」
祐介は距離を取りながら相手の脇腹を狙った。
何度も何度も脇腹を狙った。
相手は全く効いていない様子だった。相手が祐介の頭を掴み、膝を思いっ切り顔面に当てた。
祐介は後ろにふらついたところを更に顔面にパンチをくらいそのままダウンしてしまった。
「またダウンですよー三宅さん三宅さん」
「…」
三宅は何も答えなかった。
祐介は5秒ほどダウンしていたが、起き上がった。
前に出てまた脇腹を攻めた。距離をとり何度も脇腹を攻めた。
少しして、相手の動きが遅くなった。
段々と脇腹のダメージが出て来たのだ。
そして祐介はまた勢いよくジャンプしながら突っ込んだ。
今度は右パンチを相手の顎に当てた。相手は軽い脳振盪を起こし倒れた。
場内は大きな歓声が起きた。
だが、5秒ほどして相手は起き上がった。
相手は勢いよく迫ってきてパンチを大きく振り上げて振り下ろした。
祐介はそれをかわし体制が崩れた相手を床に倒した。そして、寝技を決めようと四の字固めを繰り出した。
相手のゾンビは力で持ち上げようとするがさっきの脳振盪が効いていた。
祐介は四の字固めを決めて相手の骨を折った。
祐介は一旦距離を置いた。相手は起き上がったが、右手は上がらなかった。
そのまま一気に祐介は前に出て、また執拗に脇腹にパンチした。もう何度も何度も何度も何度も脇腹をパンチした。相手が苦しくなって九の字に曲がったところを渾身の右ストレートを顔面に当てた。そしてダウンさせた。
ゾンビは起き上がることなく祐介は勝利した。
「やったー本当にやっちまった。やりましたよ三宅さん」
「あたりまえだよ祐介だぞ」
場内は一番の盛り上がりを見せた。
「しびれたぜ祐介」
ボスも興奮冷めやらなかった。
平はリングに向かった。
「祐介大丈夫か?」
祐介の意識はしっかりしているが、フラついていた。
平は肩を貸し一緒にリングを後にした。
「悪い」
「本当に大丈夫かよ?」
「大丈夫。これで安心して向こうに行けるでしょ」
「本当にすごい奴だよ祐介は」
その日の夜、平は別の施設へと去っていった。
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