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大きな拾い物
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新しい街に来て2週間が経つ。
ようやく部屋も片付け終わり、この部屋で過ごすあたしも、ぎこちなさは減ってきた。
この街に着いてすぐ、あたしはバイトを始めた。
「杏ちゃん!8番さんにケーキセットお願い」
「はい!お待たせしました。本日のケーキセットです。」
そう。ケーキ屋さんでバイトを始めた。
甘いものって幸せになれるから大好きで、働くなら街のケーキ屋さん!と決めていた。
「お嬢ちゃん新人さんかい?」
「そーなんです。これから宜しくお願いしますね」
常連のおじさまが声をかけてくれる。とても気さくな人達が多いお店ですぐに馴染めた。
「ん?関西弁か?イントネーションが違うな」
「あれ、やっぱりバレます?標準語話そうと思うんですけどね、なんかポロっと関西弁がでてしまって…」
この関東の都会では関西弁は珍しいのか、あらゆる人に関西人だとバレるもんだから、標準語を意識して話している。
でも
「やっぱ標準語むずかしいわ」
京都訛りもはいったあたしの関西弁は、どうも訛りが強いみたいで、全然馴染んでくれない。
この街にいたらいずれあたしも標準語が話せるようになるのかな。
なんや、あたし意外と普通にやれてるやん。
志木が見たらびっくりするやろな。
案外普通にやれてるあたしをみて、驚く志木の顔を浮かべてニヤける。
ちゃんと元気にやってるやろか。
「杏ちゃん!今日はもう上がりでいいよ」
「わかりました!お先です」
本来であれば学校に通っている時間。
一応学校の転入手続きはしたものの、通う気になれず、始業式から1週間以上経っている。
今更、新しく友達とか仲間って、想像つかへんから。
私服に着替えて家に向かう。
バイト先から家までは徒歩15分。
その間にある、山吹スーパーでいつも買い物をして家に帰る。
スーパーまでは大通りを通ると信号が多くてなかなか時間がかかることが判明した。
せやし、裏路地の信号回避ルートを最近発見した。新しい街はこういう発見があるからおもしろいね。
「今日は何が安いかなー」
少し暗い路地を行く。
映画であるようなゴミ箱があって、怖い雰囲気がするような路地ではない。
ただちょっと狭くて暗いだけ。
カレーが食べたいな。最近食べてないし。
1人でカレーしたら何日目までカレー食べなあかんにゃろ。4日目?
そんなことを考えて歩いていた時
あたしは見つけてしまった。
「え、何これ」
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