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目の前に落ちていた…いや、倒れていたのは、金色の髪をした男だった。
てゆうか…
「血だらけやん!どないしたん」
額から血が流れているのか顔が血だらけの男は地面でぐったりしている。
これ救急車呼ばなあかんやつやんな?
駆け寄って
そして後悔した。
「うるせぇ、声がでかいんだよ」
……なんですと?
少し言われた言葉を理解するのに時間がかかった。だってそんなこと言われると誰も思わないから。
はーーーーー?なんやねん、こいつ!
人が助けてやろうって時に!!!
何を言われたか飲み込めば咄嗟に言い返してしまっていた。
「あんたな、自分の状況わかってんの?わかった上でその発言なん?血だらけやねんで!」
あたしの優しい親切心かえしてくれ!!
ギロリと睨まれたが、関係ない。
あたし悪くないもん。
男の側にしゃがみ、顔を覗き込むと、あらまぁ!!イケメン!!!ってそんなこと言ってる場合ちゃう。
「すっ転んだん?救急車呼ぶで?」
顔面血だらけはホラーやん。やめてよ。
話しかけても応答しなくなり、携帯をだして救急車を呼ぶ。
えっと…
1・1・9
ボタンを押して耳に携帯をあてがった瞬間、男は立ち上がりあたしの携帯を奪った。
「……返して」
「見なかったことにして立ち去れ」
そうボソっと言って通話が既に切られた携帯をあたしに返して、手は猫でも追い払うかのように、シッシッとしている。
救急車も呼ばれたくないって、まさか犯罪者!?
足元もおぼつかないような男は、再びその場にしゃがみ込んでしまった。
そして何やらゴソゴソと服を触っている。
えっと?あたしほんまに何もせんでええの?このままスーパー行くで?めっちゃ血だらけやけど…大丈夫なんかな。
「なぁ」
「はい!!」
突然声をかけられてビックリ。なんやねん。もうええって言ったやん!
「携帯…無くしたから、貸してくれ」
このボロボロの状態で携帯もなくて、この人ほんまにここで倒れたままになってしまうやん?
携帯を貸すために、男の方へ歩こうとした時声が聞こえた。
『どこ行きやがった?』
『頭バットだぞ?それに足も!』
『そんな遠くには行けないはずだ』
『探せ!!!』
物騒な会話が隣の路地だろうか?聞こえてきた。
頭バット?それってこの人??
男にも声が聞こえたのか、チッと舌打ちをしてゆっくりと身体を起こした。
「なぁ、待ってえな!あんた何処行くつもり?フラフラやん。血止まってへんで」
「お前まじでどっか行けよ。危ないから。てか邪魔」
いやいや、危ないのはあんたやろ!邪魔ゆうな!ここはあたしの帰り道や!!
頭を抑えて立ち上がった男は、またフラっとぐらついて、その場に倒れてしまった。
立ったりしゃがみ込んだり忙しいやっちゃなぁ!!!
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