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朝から甘ったるい匂いのする店の周りをウロウロしている。俺不審者扱いされそうだな。
あの女は、俺らと居た時より数百倍笑顔だ。
なんだよ。笑えるじゃん。
杏ちゃんまたねーと店から出て来る客が大勢いた。ふーん
なんか意外。
それが俺の感想だった。
向かいの本屋で時間を潰しながら、時々店を覗いて周りも見てみたが、特に何もなさそう。
夕方の泉とのバトンタッチで帰るかな。
なんて考えてると、時間よりも2時間も早く泉がきた。
「はぇーじゃん」
「ん。なんかわかんねーけど嫌な予感がした」
そう言う泉の目は烈火の総長の目だった 。なるほど。泉がそう言うなら俺も警戒しよう。
そして泉がきて1時間ほどは何も起こらなかった。チラリと泉を見るが、来た時と変わらず、鋭い目で店付近を見ている。
こりゃ…なんか起こるな。
そう確信した時、それは起こった。
「あいつ…」
泉はそう言い立ち上がる。あれ?誰だ?そう思ってると「俺をバッドで殴ったやつがいる」と言う。
なんと珍しい。相手の顔を覚えてたんだな。
泉の後に続き店に近づく。どうやら男はなにか、探しているようだ。
あの女にバレないようにしなきゃ。
何時に帰るんだ?いまは17時。
黒蛇の男はウロウロして、バイト先の店の裏路地に入っていく。
「朔、俺は正面から行く。お前は一本奥の通りから入って、他に誰もいないか見てくれ」
「わかった。気つけろよ」
誰に言ってんだ。そう少し笑って泉は動き出した。いやいや、この前血だらけだったろ?
足も回復してないだろうし…
まぁ、大丈夫って言ったし、信じてやるか。
先回り先回り
一通り見るが黒蛇らしき奴はいない。もしかして、さっきの奴1人か?!
すぐ泉の元へ走る。
ちょっとでも心配した俺がバカだった。
あっけなく一発で殴り飛ばされる男をみた。
相変わらず容赦ないな、はは
「泉。こいつだけだ、この辺ウロウロしてたの」
「てめぇ…覚えてるか?」
ひぃぃと男は後ずさる。
その時側にあった箒とちりとりを投げ飛ばしてきた。いってぇな
その隙をついて、男はさらに路地裏へ走る。
泉は、追えと目で訴えてくる。はいはい、総長に従って捕まえますよっ……と!
角を曲がったところで上から飛びかかり捕まえる。
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