終わりと出会いと始まり 

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でも、迷惑だったね また悲しい顔をさせてしまった。 「嘘だよ。そんな顔しないで?死なない。お水くれないかな。薬飲んでないから」 「芽郁!!」 「みーず!」 「……」 純平は昔から本当に世話焼きだなぁ 優しすぎて怖いくらい。どうしてあたしなんかと一緒に居てくれるんだろうね。 あのね 今日、こんなに飲んでるいるのには理由があるんだよ。 「純平には言えなかったんだけどね、仕事場、今日……クビになった」 隠しておこうと思った。 でも純平には聞いてほしかったのかな。 まだ出勤もまともにしてないのにクビだなんて、笑っちゃうよね。 「は?白鳳(はくほう)高校の教師になるって言ってたじゃん!明日入学式だって…」 「うん。受かって色々準備してたんだけどね、今日クビになった」 「いやいや、まだ授業始まってもないだろ?誰かと揉めたの?」 難関だと言われた県でトップクラスの高校教師になれたと思った。夢が叶ったと胸が高鳴った。  でもダメだったんだ 「健康診断でひっかかってクビ」 自分でも驚いた。ワクワクしていた。呑んだくれのあたしだが、教師になるのは夢だったから。 まさか健康診断でね。 「少し前に健康診断でひっかかって、再検査になってたの。それで今日結果がでて、うちでは先生になってもらえないってさ」 「なんだよそれ!病気か?」 「さぁ。教師になれる健康ラインに達してなかったんじゃない?」 嘘をついた。 純平は白鳳高校の教師になれると言った時、心の底からおめでとうと言ってくれたから。言いづらかった。 あたしのことも大切にしてくれてるから。
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