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自分が病気だなんて
言えなかった
きっと、そんな身体で働く奴がいるかよ。ってことなんだと思う。倒れられたら迷惑だもんね。
まさかここで夢が崩れていってしまうだなんて思いもしなかった。
「芽郁!俺が白鳳高校に電話してやる!何がクビだ!芽郁の夢…なめんじゃねーぞ」
涙は出なかったんだよ。
目の前で自分の道が崩れていくのなんて、何度も見てきたから。泣かないよ…
もう何も残ってない。
なのに
「純平は優しいね。あたしのために泣いてくれてるの?」
「…っく。当たり前だろ?先生になるのはお前の夢なんだから」
泣かないでよ
自分の使っていたおしぼりを純平の顔に押し付ける。
ごめんね
いっぱい応援して喜んでくれたのにね。
「健康診断の結果見せろ」
「破って捨てた」
「は?」
「視界にもいれたくないから捨てた」
「……治してまた受ければいいじゃん」
「そうだね。病院いかなきゃね」
「何の病気?詳しく診てもらったの?」
「あたしは昔から心に病気を抱えてばっかりだ」
胸が痛い
弱音を吐きたい訳じゃない。だけど今日は……苦しいよ。
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