終わりと出会いと始まり 

4/36
前へ
/634ページ
次へ
自分が病気だなんて 言えなかった きっと、そんな身体で働く奴がいるかよ。ってことなんだと思う。倒れられたら迷惑だもんね。    まさかここで夢が崩れていってしまうだなんて思いもしなかった。 「芽郁!俺が白鳳高校に電話してやる!何がクビだ!芽郁の夢…なめんじゃねーぞ」 涙は出なかったんだよ。 目の前で自分の道が崩れていくのなんて、何度も見てきたから。泣かないよ… もう何も残ってない。 なのに 「純平は優しいね。あたしのために泣いてくれてるの?」 「…っく。当たり前だろ?先生になるのはお前の夢なんだから」 泣かないでよ 自分の使っていたおしぼりを純平の顔に押し付ける。 ごめんね いっぱい応援して喜んでくれたのにね。 「健康診断の結果見せろ」 「破って捨てた」 「は?」 「視界にもいれたくないから捨てた」 「……治してまた受ければいいじゃん」 「そうだね。病院いかなきゃね」 「何の病気?詳しく診てもらったの?」 「あたしは昔から心に病気を抱えてばっかりだ」 胸が痛い 弱音を吐きたい訳じゃない。だけど今日は……苦しいよ。
/634ページ

最初のコメントを投稿しよう!

146人が本棚に入れています
本棚に追加