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終わりと出会いと始まり
あたしは人生2度諦めた
1度目は幼い頃
そして2度目は……今日
本当は新しく歩み出せるはずだったんだ。
いま、酔うためのお酒を飲んでいる。
深夜1時
あたしはカウンターにつっぷして、先ほどから強いアルコールをどんどん飲み干す。いつもの3倍は飲んでいる。
軽く致死量だ
「ちょっと!芽郁!あんたそろそろ死ぬわよ!」
持っていた酒の残るグラスを奪われる。
「どーせ死ぬ。それなら大好きな純平の作るお酒を飲んで死にたいの!!」
「ここで純平って言わないでって言ってるでしょ!マ!リ!ア!マリアよ。マリアって呼びなさい!」
うるさいな……純平は声が大きい。酔った脳に響くんだよ。
それに今はそれどころじゃないんだもん。
人生2度目の挫折
いや、これは挫折っていうのかな?死刑勧告みたいな感じ。
「芽郁!今日はこの後彼氏が来るからもう帰りなさい!」
純平の彼氏?
「彼氏できたの!?聞いてない!」
「今言った。さぁ、あんたもさっさと彼氏でも作って、その酒癖と性欲どうにかしてもらいなさい」
酒癖悪くないもん!
性欲も普通だもん!
純平はすぐ帰れるようにあたしの荷物をまとめている。
純平に彼氏か……
「純平、あたしのこと好きだったのにね」
エプロンを引っ張ると、バランスを崩した純平があたしを見て少し悲しそうな顔をした。
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