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ひとみちゃんは複雑そうな顔をした。どうしてと顔にかいてあるが、今はとにかく僕のとなりで無邪気に笑うきみが見たいし、助手席で少しだけ見せてくれた、その愛くるしい寝顔を今夜はずっと眺めていたい。それだけで僕はすごく幸せだから。
今は、それ以外は求めようと思わないし、欲しくない。
「だけど、そのかわり約束するよ。君を大人にするのは絶対に僕だから。これからもずっと僕と一緒にいてくれるよね?」
そう言って僕はひとみちゃんにほほえむと、彼女は無言で頷いてくれた。さっきの色っぽい表情が消えて、無垢な少女がちゃんと戻ってきてくれて安心する。
開いた扉を気にせず、僕は少女のやわらかい頬を優しく撫でたあと、そのまま頬にキスをした。彼女との初めてのキスだ。
「じゃあ、いこっか」
何事もなかったように、ぼくたちはまたゆっくりと歩き始めた。
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