ありふれた殺人

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 ジョエルは私をどうしたいのだろうか。考える間もなく、彼は戻ってきた。片手に黒いボストンバッグを携えて。  それからジョエルは私の衣服を剥ぎ取り始めた。手錠が邪魔になって脱がせにくい手首周りはボストンバッグから取り出したバタフライナイフで――どうやら"仕事道具"が一式入っているらしい――細切れに切り裂いていった。  私が全裸になると、ジョエルもまた衣服を脱ぎ始めた。さながらストリップのように。やはり顔だけではなく肉体も美しかった。 「なあ、ダニー。俺からのお願い、聞いてくれないか?」  ストリップを終えたジョエルは仕事道具からダクトテープとタオルの切れ端を取り出しながら訊いた。 「何だい、ジョエル。君の願いなら、何でも聞くよ」  私が正解を答えるとジョエルは満面の笑みで続けた。 「ダニー。今からセックスする間、あなたは死体になっていてくれないかい?」  私はジョエルの発言の意味がわからなかったが、彼に何かを聞く前に私の口に布が詰めこまれ、上からダクトテープで何重にも巻かれた。  テープは口ばかりではなく私の目も覆い隠し、残されたのは嗅覚と聴覚という有様だ。  さらにジョエルは私の膝を立たせふくらはぎと太ももを左右それぞれテープでがんじがらめに縛り付けた。  彼の言う"死体になれ"とはこういう意味なのか。それが誤りであったことはすぐにわかった。 「――――ッ!」  ろくに慣らしもせずにジョエルが私のアナルにペニスを挿入してきたのだ。あまりの痛みに私はテープ越しに叫び、全身をくゆらせて痛みを逃そうとした。 「死体になれと命じただろう?」  不機嫌そうなジョエルの声が聞こえた次の瞬間、私は再び絶叫した。腹部に何かの道具を使って強力な電気ショックを見舞われたのだ。 「耳は生きているだろう、ダニー? 良い子だからむやみに動かないでくれ。このままじゃあなたを本当に殺してしまいそうだ」  言いながらジョエルは金属状の突起物――おそらく先ほど使われたスタンガンの類――を私の左胸に宛がい、次はここだと暗に脅しをかけた。  私は殺されたくない一心で、死体役を演じた。ジョエルは加減というものを知らず、私が少しでも呻こうものなら容赦なくスタンガンを浴びせた。  電気ショックにより本当に身体が動かなくなってくるとジョエルのセックスは再び激しさを増した。  繋がったままの状態からジョエルは私の身体を反転させ両脚のテープを剥がすと、尻を突き出すようなポーズを取らせた。  ジョエルに突き上げられるたびに、私の惨めなペニスが揺れ、私の意志とは無関係に少しずつ熱を帯びて屹立していく。  私の反応を見たジョエルは口笛を吹き、私の耳元でいたずらっぽく囁いた。 「生きている相手とのセックスも悪くないな……」  ジョエルは片手を私のペニスに添え、律動と同じスピードで扱き始めた。肉体同士がぶつかり合う破裂音とぬちゃぬちゃした水音が私の耳を刺激し、私は激しい羞恥心に見舞われた。 「温かい……温かいよ、ダニー。ああ、ダニー。あなたを本当に愛してる……」  その言葉が引き金となり、ジョエルは私の中に射精した。死体相手にゴムは必要ない。ジョエルならそう答えるだろうと、私はぼんやりとした頭で考えた。  私も吐精したが、精液でだけではなく排尿までしてしまった。私の内ももが生温くなり、当然ベッドのシーツやマットレスだけではなく、ジョエルも汚してしまっただろう。  今度こそ殺される。私は覚悟を決め、全身の力を緩めたが、ジョエルは私からペニスを引き抜こうとはしなかった。  三度身体を返され、両脚を彼の肩に担がれる。まだ続けるつもりなのか。私の戸惑いを悟ったジョエルは妙に艶のある声で言った。 「粗相を気にしているのかい? あれはただの生理現象さ。死姦して汚物まみれになることは慣れている。でもあなたとは今の関係を維持したい。それも、できるだけ長く。俺はあなたを殺してあなたの死体でセックスしたいけど……ダニー、やはりあなたは俺の中で特別な相手だ。他の奴らと全然違う……」  私のアナルが裂けて流血しようとも、汚物まみれになろうとも、ジョエルは彼の精液が枯渇するまでセックス――わたしにとってはレイプそのものだが――を止めようとはしなかった。  愛のあるセックスと称しつつも、ジョエルは時折私の首を絞めた。  より強い快楽を得る為に。そういった行為が何度か行われている間、ついに私は意識を失った。 ジョエルは最後まで愛してると、まるで呪いのように私の耳に吹きこみ続けたのだ。
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