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フィンは騎士の家系に生まれた。実家は長年王家とのつながりも深く、シェイマス王とフィンの父は親友と言って良い間柄だったという。
だからこそシェイマス王は、親友の遺した子を我が子のように熱心に育ててくれた。リシェイル王子が生まれれば兄弟のように、剣術や戦法を教えてくれた。そして、フィンが両親を恋しがって泣いた夜には、子守歌を歌ってくれた。
「生きろ、フィン・ウィスカ」
ディアーナの声を受け、フィンの目から涙が滑り落ちる。
「それが王命だ」
死を隠せと囁かれた瞬間から凍り付いていた感情が、唐突に吹き出した。フィンは膝から崩れ落ちるように、その場に座り込む。そして、焼けた大地に爪を立てて泣いた。
どれだけ涙を流しても、どれだけ苦痛の叫びを上げても、焼けつくような胸の痛みは消えなかった。生きて呼吸をすることが苦しくてならなかった。
それでも生きなければならない。
何故なら王は、フィン・ウィスカの死を許しはしないから。
了
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