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プロローグ
あなたは知っているだろうか?
私たちがかつて、違う星にいたということを。
世界には約束事があった。
星をめぐる旅の中で、戻らない時間があること。
世界中に散らばる星を探して、たった一つの「今日」を見つけることを、願っていること。
あなたは私に教えてくれた。
麦畑の見える丘の上で、いつか、永遠の別れを、空に託さなければならないこと。
私たちはその「光」なのだと、あなたは言った。
138億光年の峰に続く、「未来」そのものなのだと。
…だけど、もう2度とあなたに会えなくなるのは嫌だった。
宇宙船の扉を開け、最後にあなたの顔を見た時、私はどんな顔で、あなたに「さよなら」を言えばいいかわからなかった。
最初からわかっていたんだ。
心の奥でどんなに願っても、明日が、今日を追い越さないこと。
だから、私は運命に抗おうと思ったんだ。
今もこうして膨張を続ける宇宙の地平線の中に、いつかまた、あなたに出会える場所があることを。
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