限りなく青に近い空の下で

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限りなく青に近い空の下で

 「ねえ、あやね。私がどんな球でも受けてみせるから、思いっきり投げていいんだよ?」  くしゃくしゃの笑顔のまま、彼女はそう言った。  雨上がりのグラウンドの上で、泥だらけのユニフォームを少しも気にすることなく。  「ヒロ!」  私は彼女のことをそう呼ぶ。  あだ名をつけるわけでもなく、単に呼び捨てで。  だけど、昔から親しみを込めているその呼び名で、彼女を呼ぶ。  「呼んだ?」  振り向きざま彼女が言うそのセリフは、いつもどこかあどけなかった。  何億回も言ってきた。  「ヒロ」と。  その度に彼女は笑顔を見せる。  穢れのない眼差しで。  いつだって元気な、底抜けの明るさで。  私は、彼女と「親友」と呼べる間柄なのかもしれない。  友達、家族、仲間。  人間同士の、いろんな親しい関係性がある中で、私たちはもっとも信頼を寄せ合える仲なのかもしれない。  私は彼女のことが好きだ。  世界中の、誰よりも。  そのことを伝える必要はないのかもしれないけれど、いつか彼女には、この胸のうちにある想いだけは、伝えたいと思うことがある。  “彼女に嘘をついた”、あの時もそうだった。
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