2. 依頼主

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2. 依頼主

 返事はすぐに返ってきた。  なんでもこの依頼主は子供の頃から冴えない男だったが、大人になるにつれてますます悪い方に磨きがかかった。見栄を張って東京の一流大学を受験すると言いふらして上京。結果は散々。浪人した挙げ句に滑り込んだ無名大学で留年。学費の支払いに事欠き退学を決意する頃には、既に大学院を卒業していておかしくない年齢になっていた。もちろんまともな就職ができるはずもなく、無職とアルバイトを行ったり来たりしているような生活をしている。  こんな状況だから同窓会に出席しても心苦しいだけだが、欠席したらしたで周囲にどう陰口を叩かれるかわからない。そのため、日当を支払ってでも自分の身代わりに同窓会に出てくれる人間を探しているそうだ。  俺はとても他人事とは思えなかった。  初めこそ楽な儲け話に惹かれてダイレクトメールを送ったが、今はむしろ依頼主への同情が勝りつつあった。
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