短編集

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自分を愛せない少女 ___________________ 私はじっと見つめる。 そして静かに微笑む。 彼女も微笑んだが、 なんとなく歪んだ微笑み顔に私は困惑する。 すると、彼女にも私の感情が伝わったのか… 困惑した表情をした。 「ご飯よ〜!」 声が聞こえるも、私は目の前の少女から目を離さない。 「………えっ……と…」 彼女を見ると私は途端に、 「……うっ…………」 目眩がして、吐き気が催してきた。 すると、しゃがんだ私と目線を合わせようと 彼女もしゃがむ。 「………大丈夫……私は……」 彼女に笑いかけようとそちらを見ると、 顔色の悪い彼女がいる。 「ああ……そんなっ……顔しないでっ………」 吐き気を我慢して言葉を紡いだ。 「大丈夫……貴方は……ぅ……自分を……うぅ…っ」 口を抑えながら言葉を紡いだ。 「私はっ……うぐっ…あなたが……好きよ… おぇっ……」 自分でも説得力がないのはわかっている。 でも、そんな性格のせいで彼女の人生はもう既にめちゃくちゃなのだから… だから、好きにならないと。 周りに好かれたいなら…自分を愛さないといけない。 そのためには…私が……愛してあげないと…… 「っ……」 私は耐えきれず、目の前の彼女を押しのけてトイレへ駆け込んだ。 力の存在しない彼女の体は床に叩きつけられた。 「おぇ…っ……ぅぐっ……ぇ…ぉぇ……」 嗚咽しながら何も入っていない胃から絞り出す。 「ちょっと…!大丈夫?! 着替え持ってくるわね…!」 母は私の部屋に駆け込んだ。 「友達が来てるから!」 と、言いかけて 理解してくれないことを思い出して声は出なかった。 「…ねぇ…なんで鏡が割れてるのよ… あんた、一体何して……」 何って…… 自分を愛する練習だよ その言葉は胃液と共に流れていった。
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