14人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっぱ運動した後って何か食べたくなるんだよ
な。」
「ふふっ。分かるなぁ。特に甘いものが食べたく
なっちゃう。」
「そうそう。」
運動した後に何か食べたくなるのは嘘じゃない。
家に帰ったら3度はおかわりするくらいだ。
ただ"甘いもの"は別。
そんな俺の嘘にふんわりと控えめに笑う彼女。
もちろん罪悪感がないわけじゃないけど、だって
仕方ないじゃないか。
たまたま近所に出来たショコラトリーが彼女の親が
やってる店で、そこでこうやって手伝いをしてる
ことを知ってしまったんだから。
「これちょうだい。」
「かしこまりました。」
そうやって店員らしく振る舞う彼女をいつもチラリと盗み見てる。
さすがにガン見は出来ない。
ただ、学校に居る時よりも近くで見られて内心
いつもガッツポーズをしてる。
学校だと、俺が彼女と話してたら周りの奴らが絶対
騒ぐからなかなか話せない。
見てるだけで終わるかと思われた俺の片想いは
この店のおかげで少しだけ前進した。
「今日もここで食べて行く?」
「ああ。」
「分かった。ちょっと待っててね。」
俺は今、変な顔をしてないか。
毎回心配になる。
彼女とこうやって話せるなら、嘘くらいつきたく
なるだろう。
だからどうか許して欲しい...なんて。
最初のコメントを投稿しよう!