ビター

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 土管の中は、思った以上にせまかった。  僕は、それでも自分の体を土管の中に押し込ませていた。  外は真っ暗で、お昼に降った雨のせいで土はぐちゃぐちゃだ。  外にいるよりも、土管の中にいた方が絶対安全だし、服が汚れることもないはずだ。  今は何時かわからないけれど、家を出てから随分時間が経っていることだけは確かだった。  ママは、心配して僕を探しているのかもしれない。  だけど、僕は家に戻るつもりはなかった。だって、悪いのはママだった。  僕が何度も「ゲームを買って」と頼んでいるのに、ママは絶対に「うん」と言ってくれなかった。  たっくんだって、よしくんだって、持っているんだよ。みんな持っているんだ、と教えても、 『たっくんとよしくん以外に、いないの? じゃあ、みんなとは言わないわよ』  そんなことを言って、買ってくれようとはしなかった。  だから。  僕は、もう頭にきてしまったのだ。  ママがゲームを買ってくれるまで、家には帰らない。
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