ビター

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 だから。  そう叫んだ。  僕は、ちゃんと買って来た。  ビールは子どもだから、買えなかっただけなのだ。  チョコレートだって、ちょっと違っていただけだ。 「嘘つき、嘘つき、嘘つきっっっっっ!!」  思いっきり叫んでやった。  けれど。  その人は、何も言わなかった。それどころか。 「僕、何をしているの?」  たくさん叫んで、疲れて目を開けたら、おまわりさんがいた。 「お父さんとお母さんは?」 「え……?」  僕はいつの間にかひっくり返っていて、そんな僕をおまわりさんが覗き込んでいたのだ。 「こんな夜中に一人なのかい?」 「おい、おまわりさんよう、はよこのガキ連れて行け!!迷惑でしょうがないわっ」  僕がびっくりとして起き上がったら、おまわりさんの近くにいたおじさんが、そう言った。
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