ビター

12/15
前へ
/15ページ
次へ
「こんな夜中にバカでかい声で叫びやがって! さっさと逮捕して、連れて行けっ」 「え……?」  逮捕、という言葉にびっくりした。 「僕……逮捕されるの?」 「このままここにいて、叫んでいるならそうしないといけなくなるよ」  おまわりさんは、こくんと頷いた。 「お前みたいなヤツは、牢屋に入れられとけ!」 「ほら、行こうか」  おまわりさんはおじさんの前に立って、僕の手を引っ張って立たせてくれた。  そうして、コンビニの方を見ると、外に何人かの人がいて、僕を見ていた。  とても怖い顔で僕を見ていて、誰も「かわいそうね」とか、「どうしたの?」とか聞かなかった。  それどころか、僕は逮捕されるかもしれないのだ。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加