ビター

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 長い茶色の髪が見えた。  その髪は、くるくるになっていて、唇は真っ赤だった。  着ている服も、何だかわからないけど、ママが着ている服と全然違った。  まるでお姫様のような服を着ていて、でも、お姫様の服のようには長くなかった。 「誰……?」  その「大人」は、僕の周りにはあまり見たことがなかった。  と言うか、テレビでは見たことがある。  だけど、こんな格好をしている人がテレビに出てくると、 「子どもは見ちゃ駄目よ」と言って、テレビを消してしまっていた。 「それは、こっちの台詞」  その人は、僕を見てそう言った。 「何で、あんたみたいなガキがこんな時間にこんな場所にいるのよ」 「あんたには、関係ないだろ!」  僕は、そう言ってみる。 「まあ、それもそうね」
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