ビター

4/15
前へ
/15ページ
次へ
 そうしたら、その人は僕の言葉に頷いた。  びっくりして、僕はその人を見た。  だってその人は、そんなこと言わないで」とか、「本当にどうしたの?」とか言わなかった。 「確かに、私はあんたがどうなろうと関係ないわ。じゃあね」  それどころか、そう言って僕から離れていこうとする。 「待てよ!」  だから。僕はその人を呼び止めた。 「何よ」  けれど、その人は本当にめんどくさそうに僕を振り返った。  仮にも、この僕が呼んでいるのに。 「僕は、帰らないからな!!」 「はい?」  そうして、僕が言った言葉にもへんな顔をした。 「ママが悪いんだから! だから絶対帰らない!!」
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加