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12:試し(前編)
俺が参加しようと思った理由は2つ。
1つは金だ。
いつまでもメイリンさん頼りの生活ではとても申し訳ない。本人も快く了承してくれているが、負担は相当のものだろう。生活基盤が整っているような従業員を雇った方が良い。
もう1つは自分の実力を知りたい。
確かにスキルには恵まれていないが俺は仮にも転生者だ。それを狙ってもしかしたら襲われることもあるかもしれない。
「あら、意外ね。」
「キャラじゃないと思ったか?」
「ええ。」
そう相槌を打つと少し考え込んだ。
「でも、柚月さんの昔の友人ってことは転生者だよね?
そしたら強いスキルとか______________」
「いや、持ってるのは全部ゴミスキルだ。」
ケイの考えを即否定した。
「…何持ってるの?」
「『意思疎通』、『思考加速』、『生命探知』、『物理演算』。以上。」
「ええ?嘘じゃないよね?」
「嘘のような本当の話。」
正直かなり驚いているようだった。やっぱり転生者が強いスキルを持つことは噂ではなかったのかもしれない。となれば、柚月は強いスキルを…
しかし、これでは攻略の一員にしてもらうことは不可能だろうか。
まあ、嘘をついてもいずれバレるだけだし仕方ない。
「うん、これじゃあ迎える訳にはいかな______」
まあ、そうなる___________
「いえ、入れるわよ。」
「え?」
え?
「何となく優秀な戦力になる気がしているのよ。
但し________」
「何だ?」
「ただで、というわけにもいかないわよね。」」
そうやって俺のことを指差した。
少し戸惑う。
「という訳で、少し腕試しさせて頂戴。」
「はぁ?何でだ?」
「だって何ができるか分からないような状態で入れたくはないもの。」
「俺も望むような結果は出せないと思うし、
やらなくても___________」
「やりなさい。」
少し顔を近づけながら、有無を言わせぬ表情で見つめてくる。
腕試し。やれるかどうかは分からないが、そうしないとメンバーに加えてもらえないのなら______
「分かった。やろう。」
「んじゃあ、代金ここに置いておくからねー。」
「ええ、ちょっ、待っ…」
ケイはついていけてなさそうだが、うまくやってるようだ。
そうやって、彼女が店を出ていくのを見送った。
だが、1つの疑問が残った。
アルビノである彼女は紫外線に弱いので肌を出して日の下は歩けない筈だ。
だが、今の彼女はワンピース。紫外線が直に肌に当たっているはずだ。異世界の太陽からは紫外線が出ないのだろうか?それとも…
さて、どんなスキルを持ったのやら。
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