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陰気なこの部屋だって、言葉を弾ませればライブ会場になる。熱狂は身体を蝕んで、耐えられなくなることもある。けど、それも今日までだ。
「……明日なんだ。……ちょっと、怖いよ」
「大丈夫だよ、君なら」
「あなたは?あなたは、いつここから出られるようになるの?」
「……さあ、ね」
「いなくなるのは、ダメよ?」
「……うん。安心して。僕は、いなくならないから」
優しい笑顔は、残酷だ。あなたはいつでも、消えてしまいそうな姿をしているのに。
「……約束して。私は、あなたより先にいなくなったりしないから。だから、私が帰ってくるのを、ずっと、一生待っていて」
今度は、返事を待った。聞かないと、不安で仕方なかったから。
「……そんな約束、守れる自信はないなぁ」
「お願い……」
懇願するのは、卑怯だったと思う。優しいあなたは、困った顔で笑って見せた。
「……約束なんてしなくても、僕はここにいるから」
「ほんとに? 絶対よ?」
「ああ、必ず」
飛び跳ねて喜んだ私を、あなたは恨んだかしら?
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