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わたし成田葉月二十三歳は新宿の高層ビルが立ち並ぶ周辺のコールセンターで派遣社員として働いていた。もちろん派遣社員なのでボーナスもなく時給制の勤務であり時給は千四百円だった。
突然解雇を言い渡されたわたしはどうやって最寄駅まで帰ってきたのかも分からないほど動揺していた。
ふらふら立ち寄ったファッションビルのアパレル店で可愛らしいスカートを見つけ瞳をキラキラ輝かせたけれど財布の中身を確認して諦めた。
肩を落とし出口に向かおうとすると、「お客様~待ってください。そのスカートお客様のふわふわとした可愛らしい雰囲気にぴったりですよ~」
なんて店員さんはにっこり笑顔を顔に貼り付けて微笑んでいるのだから困ってしまう。
「……あ、でもいいです」とわたしが断っているのに店員さんは、「本当にお似合いですしそのピンク色のスカートは春の桜色ですから今の季節にもぴったりですよ」なんて言って強引にスカートをグイグイグイーと押し付けてくる。
わたしは、派遣切りにあってイライラしていたので、
「可愛いですし欲しいけどお金がないので結構です」と強い口調で言ってしまった。
だって仕方がないでしょ。
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