バナナとリンゴが机の上から同時に滑り落ちたら

運命が動く

夕焼けに染まる空の下しばらく沈黙が続いた。先に沈黙を破ったのは浜本さんだった。

「成田さん、明日から仕事頑張ってくださいね。部屋もめちゃくちゃ汚ないし大変だと思うけど掃除のしがいがありますよ」

浜本さんは、わたしの顔を見てニッカリと笑った。

「はい、頑張りますよ。ふふっ、英美利ちゃんの家は汚ないのですね」

わたしもにっこりと笑い拳を握る。

「アイツの家はかなり汚れていますよ。お手伝いさんが休むと泥棒が入ったのかなって思うほど物が散乱してますよ。玄関を開けただけで、これはお手伝いさんが休みだったんだと分かりますからね」

浜本さんはケラケラ笑った。

今頃英美利ちゃんはハックションとくしゃみをしているんじゃないのかなと想像するとなんだか可笑しくなってきた。

浜本さんが話題を変えてくれたのでわたしはほっとした。