運命が動く

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春のオレンジ色に輝く夕焼け空がキラキラと輝きとても綺麗だった。 「では、明日から頑張ってくださいね」と浜本さんが挨拶をし、「はい、頑張ります」とわたしは答え、各々の電車に乗り家路に着いた。 わたしは駅前のスーパーに寄りおばさん達に混ざり安い食材の争奪戦に加わる。 「ちょっと、それはわたしのお刺身よ」 振り返るとブルドッグみたいな顔をしたおばさんが眉間に深い皺を寄せてわたしを睨みわたしが掴んだ半額シールの貼られたお刺身のパックを引っ張ってくる。 「えっ、でも……わたしが先に取りましたよ」 「いいえ、そのお刺身はわたしが一度カゴに入れたのよ」 「はい? でも、今ここに置かれてましたけど……」 「半額になるのを待ってたのよ。で、半額セールが始まったから一度そこに置いたのよ」 おばさんは納得のいかない屁理屈をこねる。 「そんなの屁理屈です!」 「何ですって? あなたこのわたしの言ってることが間違っていると言うの」 おばさんは大きな声を上げた。 「……おばさんにこのお刺身譲りますよ」
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