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中川家の豪邸を見上げる。やっぱり英美利ちゃんの家は立派だ。今日も門柱に取りつけられているインターホンをえいやと押した。
「はーい」とインターホン越しに英美利ちゃんの声が聞こえてきた。
「おはようございます。葉月です」
「あら、葉月ちゃんね。どうぞ、門を開けるから入ってきて」
今回も前回と同様に門がギーギーッと自動的に開いた。わたしは中に入る。
綺麗な春の花が咲き誇っているお庭も広くて小さな公園を思わせる。わたしとたった二つしか年が違わない女性の住いがこれだなんて英美利ちゃんとわたしは住む世界が違うなと改めて感じた。
玄関の前には可愛らしいチューリップが咲いていてようこそと言っているみたいだ。
「葉月ちゃん、おはよう」
玄関の扉がガチャリと開き今日も美しい英美利ちゃんはチューリップの可愛らしさとはまた違いやはり豪華な薔薇のような女性だ。その存在感と満ち溢れた自信に圧倒される。
「あ、わたしはそろそろ仕事だから出かけるけどもう一人のお手伝いさんに仕事を教えてもらってね。浜本行くわよ!」
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