55人が本棚に入れています
本棚に追加
「うふふっ、わーい、これはいいかも」と声を出して喜ぶわたしだったけれど、でも待てよと考える。
わたしは料理も得意ではないしそれに偏見かもしれないけれどお手伝いさんといえばわたしよりずっと年上の人がやるものかなと思う。
それに、主婦として料理や掃除などの腕を磨いてきた人が適しているのではとも考えてしまうのだった。
「ダメだ、わたしには勤まらないよ~」
わたしは机の上にスマホをぽーいと投げた。それから財布の中身を確認する。入っているのはレシートばかりだ。
「わ~お金がないよ~」
来月の給料を期待して散財してしまったではないか。わたしは馬鹿だ。
机の上に投げ捨て転がしたスマホを手に取りもう一度長崎さんが送ってきたメールの画面を確認する。
時給千六百円がキラキラ輝く宝石のように見えてくる。
今のわたしにとって時給千六百円は魅力的だ。でもだけどと、うーんと唸っているとスマホがブルブルと振動した。
「わっ、何?」わたしは、びっくりしてスマホを落っことしそうになった。手に持つスマホの画面を確認すると長崎さんからの着信通知だった。
「はい、成田です」わたしは電話に出た。
最初のコメントを投稿しよう!